武蔵野市で市民参加

傍聴・パブコメ・その他気がついたこと書きます。事実と意見は混ぜないように気をつけます。基本的に意見は書かない方向です。

【傍聴】令和4年第4回 教育委員会 定例会 その2 「10円プール」

10円プールの行方

武蔵野市では夏の間子どもたちはプールを10円で利用できます。行政報告の中で、「総合体育館の屋外プールは廃止の方向で、これから第6期長期計画調整計画の策定の中で決める」と説明がありました。

これは第二期武蔵野市スポーツ振興計画(仮称)の策定で議論されていることで、令和3年11月に第二期武蔵野市スポーツ推進計画(仮称)中間のまとめで3つの案が提示され、パブリックコメントが募集されていました。3つの提案は次のとおりです。ここからどうやって報告のように提案の3(屋外プールの廃止)になったのでしょうか。

  1. 温水プール・管理棟・屋外プール(50m)に保全工事を重ねながら今後 20 年間(管理棟築 60 年)程度、維持し使用する。
  2. 温水プール・管理棟・屋外プールを解体し、建て替える。建て替え後の屋外プールは 25mに縮小する(既存の屋外プールは 50m)。
  3. 温水プール・管理棟を解体し、建て替える。屋外プールは解体し廃止する

パブコメでの意見

委員会の資料「中間のまとめパブリックコメントの結果と対応案」から4つの意見があったことが分かります。

パブコメ意見34

総合体育館のプールについては、なるべく機能を残しつつ利用者や周辺の環境の向上が図れそうな案2を支持します。もしも予算面で難しいのであれば、案1にしてほしい。夏場子どもだけで安価に楽しめるプールは「10円プール」だけなので、失くさないでほしい。

パブコメ意見40

まず、屋外プールについては子ども達の大好きな場所です。今年の夏もコロナ禍でありながら、実施したときは長蛇の列になり、利用できなかった子ども達もいたと聞いています。 また、概要版では「プールの今後のあり方」とのみ記載があり、80pもある中間報告書を読まないと屋外プール廃止の危険性について市民が知ることができないのは非常に不親切であると感じます。 屋外プールは防災の観点からも必要だと聞いておりますし、安易に無くすのは危険ではないでしょうか?色々な市民プールを利用したことがありますが、多摩市のアクアプールのように年中市内外の利用者が絶えないような、エンタテイメント性のあるプールなどは検討されたのでしょうか?このプールの案件に関しては幅広く市民に周知し、個別にパブコメを募ってもいいと思うくらい市民がしるべきことです。

パブコメ意見41

市営プールのあり方に関して、意見いたします。3案示されていましたが、【案1】現状のまま保全 を支持します。理由は以下のとおりです。
・屋外かつ50mという長さのプールは、長い距離を泳ぐ人間にとっては貴重な場所だから。
※近隣だと三鷹や杉並まで足を伸ばすことになる
・水深の深さは見方を変えればメリットでもある。具体的には水温の上昇を抑える(ひんやりしているので快適に泳ぐことができる)、泳ぐ際にでる波の影響も軽減されるから。
・子供から大人まで、多様な楽しみ方を提供いただいている以上となります。
そもそも、
・屋外の幼児プールを屋内に集約して、それも含めて屋内を改築するというオプションはないんでしょうか?最初から屋外プール廃止を睨んでいる感を受けます。

パブコメ意見45

総合体育館のプール改築など、スポーツ施設の維持にかかる費用を削るぐらいなら、レガシーの活用に費やしている予算を施設維持にまわしてほしい。

3の屋外プール廃止案を選択している意見はないようです。45は直接プールをどうするか表していませんが、プール改築にリソースを回すべきということで費用を根拠にして方針を決めるべきじゃないと読み取れます。

パブコメを受けての委員会での検討

上のパブコメが終わった後の第7回第二期武蔵野市スポーツ振興計画(仮称)策定委員会の議事録を読むと委員から屋外プールについて4つの意見があったことが分かります。

委員会意見1

No.40 について、対応案には「屋外プールは開場しなかった」事実だけではなく、今年度は順番待ちシステムを導入するなど、並ばずに済むよう取り組んでいたため、そのあたりの配慮が伝わるように修正していただければと思う。

No.40はパブコメの意見番号です。屋外プールが人気すぎて利用できなかった子が出てしまった子がいたことに対しての意見で屋外プール廃止についてではありませんでした。

委員会意見2

プールについては、今後も継続的に丁寧に説明する必要があるだろう。

委員会意見3

プールのあり方や整備のコスト面などについては、11 月の行政報告でも質問・指摘を受けた。また、市民からの意見を十分に受け取りきれていないのではないかという指摘もあったため、プールは一定の方向性について本計画で記載するものの、本市では令和6年度に第六期長期計画の調整計画を策定することから、整備の内容については令和4・5年度と2か年かけて全市的な議論をし、調整計画で記載していく予定である。また、情報発信も十分にしていく。

委員会意見4

パブリックコメントの所感として、屋外プールに対して前向きな意見がみられた。夏の屋外プールは子どもたちにとって安全な遊び場なのではないか。

どうやら委員会でも3の屋外プールは廃止しようという意見は無かったようです。

委員会の結論

第8回の委員会(書面開催)資料 資料1 第二期武蔵野市スポーツ推進計画(仮称)(案)を読むと次のようになっています。結局は何で屋外プールが廃止となったか、その根拠となるデータや議論は無かったようです。

②プールの整備 既存の温水プールと管理棟には、老朽化の他、換気や動線の複雑さ、バリアフリーなどの課題があり、また戦前から利用している屋外プールには改修の困難性や、開場期間が夏の2か月半と短く、近年のゲリラ豪雨や雷雨の影響でさらに利用できない日が増加していることなどの課題があります。今後のあり方について、災害への取組みや周辺のまちづくり、スポーツ施設の再編、施設の現況、利用状況、敷地内における通行などを複合的に勘案して3つの検討案(p103 参照)を検討した結果、屋外プールは廃止し、温水プール・管理棟を建て替えることで、遊泳コースの増、幼児プールの屋内化、バリアフリー化などを図り、年間を通して誰もがプールを利用しやすい環境を整備することが望ましいとの結論に至りました。今後の第六期長期計画・調整計画の策定の中で議論を深めていきます。プールの検討経緯につきましては、p101 に掲載しています。

p.101

②プールに係る現状と課題
温水プール・屋外プール・管理棟
温水プール棟は平成元(1989)年9月竣工、管理棟は昭和 57(1982)年5月竣工しました。管理棟が竣工 60 年となる令和 23(2041)年まで使用するには、改修工事費約 10 億円がかかる見込みです。しかし、管理棟は屋外プール用として建てられ、後に温水プールを増設しているため、当初想定していなかった通年利用や、温水プール棟と連結した使用に関しては課題が多く、改修しても、換気(臭気)、動線の複雑さ、バリアフリー化などの課題は解消できません。
屋外プールは、毎年7月から9月中旬の2カ月半に多くの市民に利用されていますが、規模が大きく水深も深く非効率的です。

p.103

③3つの検討案
プールの今後のあり方について、利用状況、現在及び将来にわたる財政的負担(イニシャル・ランニングコスト)と使用料収入(受益者負担)、メリットやデメリット、複合的な取組みや得られる効果、他の体育施設の整備状況などを総合的に検討し、本計画策定のためのパブリックコメントにおいて以下の3案を示し、市民から意見を募りました。
【案1】
温水プール・管理棟・屋外プール(50m)に保全工事を重ねながら今後 20 年間(管理棟築 60 年)程度、維持し使用する。
【案2】
温水プール・管理棟・屋外プールを解体し、建て替える。建て替え後の屋外プールは 25mに縮小する(既存の屋外プールは 50m)。
【案3】・採用☆
温水プール・管理棟を解体し、建て替える。屋外プールは解体し廃止する

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