【傍聴】令和4年第4回 教育委員会 定例会 その3 「不登校対策」
不登校対策で常駐の支援員を3校(人)配置
学校への支援として人が足りないところに人員を配置するという考え方はいい方向です。ただし、課題に対してこれを行うときは難しくて、ただただ人を増やしても課題が解決されるかどうかは分かりません。課題はどこにあるのでしょうか。次のビデオ(36分頃から)では不登校を解決できない構造の一例が示されています。
子どもが学校に行かない状態をその子の個人の問題ととらえるか、学校にその子が行ける環境がないという問題とらえるか。ん?どっかで聞いたような話。障害の医学モデルと社会モデルとそっくりじゃないか。方や人権、方や子どもの学ぶ権利。社会が保障しないといけないという点でもソックリ。
「医学モデル」や「社会モデル」って何?という方は https://plaza.umin.ac.jp/~haruna/icf/med_vs_soc.html をご覧ください。(とは書いたのものもっと簡単な説明無いかな。)
で、ここでは何が言いたいかというと、配置される支援員が支援するのはどこかということです。(1)学校に行かない子どもだけなのか、(2)子どもに来てもらえない学校だけなのか、はたまた(3)両者なのか。課題はどこにあるのでしょうか。既に4/1から配置されているはずなので1年後とかに実践報告だったりがあるのかな。それがなくても卒業式の様子が変わってくるはずなのでマクロ的に見ることもできますね。
ちなみに武蔵野市は基本構想で障害は社会モデルで考えています。
「武蔵野市バリアフリー基本構想2022」の「基本的な考え方」(p.13)では
人々の生活において「障害」は個人の心身機能の障害と社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、社会的障壁を取り除くのは社会の責務である、という「障害の社会モデル」を全ての人が理解し、具体的な行動を変えていくことが必要です。
さらに、バリアフリーはエレベータを作るとかのハードだけではなく、心のバリアフリーを推進することになっています。
関連リンク
- 武蔵野市バリアフリー基本構想2022|武蔵野市公式ホームページ
- http://www.city.musashino.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/035/396/baria2022all.pdf
- 令和4年教育委員会の議事録(上半期)
4/27 追記。
2021年11月4日 産経新聞に「スクールカウンセラー配置3万件も不登校減少つながらず」という記事がありました。
2022年度から武蔵野市では不登校対策で常駐の支援員を3校に配置するとのことですが、配置しただけでは効果がないことがこの10年の統計で分かっているようです。記事中では「財務省も国の事業の改善点を探る調査でSCの資質向上の必要性を指摘するなど、SCの制度自体の改善を求める声も上がる。」と指摘があることも書かれています。 ただし、教育委員会での報告では支援員という言葉を使っていて、SCなのかSSWなのか、もしくはどちらでもないか、資格についても不明なのでこの記事がそっくりそのまま当てはまるかは分かりません。
武蔵野市ではこんな例もあるようです。
ここではこのように書かれています。
SSW と繋がったのは市内の中学に進学してからでした。引き続き登校できない状況でしたので、SSW の存在は頼もしく感じましたが、すぐに不信感に変わりました。
そにれ続けて
対策ではよく SSW の増員が挙げられますが、校長や教員に理解がなければ SSW をいくら増やしても意味がありません。SSW の雇用形態が不安定なのも、SSW が学校寄りの対応になるひとつの理由である気がします。子供や保護者に寄り添う姿勢のある人材を正規で雇い入れることも必要だと思います。
と書かれています。どうやらSCやSSWの人数でどうにかなることではないようです。今回の取り組みでどういう効果が得られそうなのか議員さんたちは確認したほうがいいんじゃないかな。
【傍聴】令和4年第4回 教育委員会 定例会 その2 「10円プール」
10円プールの行方
武蔵野市では夏の間子どもたちはプールを10円で利用できます。行政報告の中で、「総合体育館の屋外プールは廃止の方向で、これから第6期長期計画調整計画の策定の中で決める」と説明がありました。
これは第二期武蔵野市スポーツ振興計画(仮称)の策定で議論されていることで、令和3年11月に第二期武蔵野市スポーツ推進計画(仮称)中間のまとめで3つの案が提示され、パブリックコメントが募集されていました。3つの提案は次のとおりです。ここからどうやって報告のように提案の3(屋外プールの廃止)になったのでしょうか。
- 温水プール・管理棟・屋外プール(50m)に保全工事を重ねながら今後 20 年間(管理棟築 60 年)程度、維持し使用する。
- 温水プール・管理棟・屋外プールを解体し、建て替える。建て替え後の屋外プールは 25mに縮小する(既存の屋外プールは 50m)。
- 温水プール・管理棟を解体し、建て替える。屋外プールは解体し廃止する
パブコメでの意見
委員会の資料「中間のまとめパブリックコメントの結果と対応案」から4つの意見があったことが分かります。
パブコメ意見34
総合体育館のプールについては、なるべく機能を残しつつ利用者や周辺の環境の向上が図れそうな案2を支持します。もしも予算面で難しいのであれば、案1にしてほしい。夏場子どもだけで安価に楽しめるプールは「10円プール」だけなので、失くさないでほしい。
パブコメ意見40
まず、屋外プールについては子ども達の大好きな場所です。今年の夏もコロナ禍でありながら、実施したときは長蛇の列になり、利用できなかった子ども達もいたと聞いています。 また、概要版では「プールの今後のあり方」とのみ記載があり、80pもある中間報告書を読まないと屋外プール廃止の危険性について市民が知ることができないのは非常に不親切であると感じます。 屋外プールは防災の観点からも必要だと聞いておりますし、安易に無くすのは危険ではないでしょうか?色々な市民プールを利用したことがありますが、多摩市のアクアプールのように年中市内外の利用者が絶えないような、エンタテイメント性のあるプールなどは検討されたのでしょうか?このプールの案件に関しては幅広く市民に周知し、個別にパブコメを募ってもいいと思うくらい市民がしるべきことです。
パブコメ意見41
市営プールのあり方に関して、意見いたします。3案示されていましたが、【案1】現状のまま保全 を支持します。理由は以下のとおりです。
・屋外かつ50mという長さのプールは、長い距離を泳ぐ人間にとっては貴重な場所だから。
※近隣だと三鷹や杉並まで足を伸ばすことになる
・水深の深さは見方を変えればメリットでもある。具体的には水温の上昇を抑える(ひんやりしているので快適に泳ぐことができる)、泳ぐ際にでる波の影響も軽減されるから。
・子供から大人まで、多様な楽しみ方を提供いただいている以上となります。
そもそも、
・屋外の幼児プールを屋内に集約して、それも含めて屋内を改築するというオプションはないんでしょうか?最初から屋外プール廃止を睨んでいる感を受けます。
パブコメ意見45
総合体育館のプール改築など、スポーツ施設の維持にかかる費用を削るぐらいなら、レガシーの活用に費やしている予算を施設維持にまわしてほしい。
3の屋外プール廃止案を選択している意見はないようです。45は直接プールをどうするか表していませんが、プール改築にリソースを回すべきということで費用を根拠にして方針を決めるべきじゃないと読み取れます。
パブコメを受けての委員会での検討
上のパブコメが終わった後の第7回第二期武蔵野市スポーツ振興計画(仮称)策定委員会の議事録を読むと委員から屋外プールについて4つの意見があったことが分かります。
委員会意見1
No.40 について、対応案には「屋外プールは開場しなかった」事実だけではなく、今年度は順番待ちシステムを導入するなど、並ばずに済むよう取り組んでいたため、そのあたりの配慮が伝わるように修正していただければと思う。
No.40はパブコメの意見番号です。屋外プールが人気すぎて利用できなかった子が出てしまった子がいたことに対しての意見で屋外プール廃止についてではありませんでした。
委員会意見2
プールについては、今後も継続的に丁寧に説明する必要があるだろう。
委員会意見3
プールのあり方や整備のコスト面などについては、11 月の行政報告でも質問・指摘を受けた。また、市民からの意見を十分に受け取りきれていないのではないかという指摘もあったため、プールは一定の方向性について本計画で記載するものの、本市では令和6年度に第六期長期計画の調整計画を策定することから、整備の内容については令和4・5年度と2か年かけて全市的な議論をし、調整計画で記載していく予定である。また、情報発信も十分にしていく。
委員会意見4
パブリックコメントの所感として、屋外プールに対して前向きな意見がみられた。夏の屋外プールは子どもたちにとって安全な遊び場なのではないか。
どうやら委員会でも3の屋外プールは廃止しようという意見は無かったようです。
委員会の結論
第8回の委員会(書面開催)資料 資料1 第二期武蔵野市スポーツ推進計画(仮称)(案)を読むと次のようになっています。結局は何で屋外プールが廃止となったか、その根拠となるデータや議論は無かったようです。
②プールの整備 既存の温水プールと管理棟には、老朽化の他、換気や動線の複雑さ、バリアフリーなどの課題があり、また戦前から利用している屋外プールには改修の困難性や、開場期間が夏の2か月半と短く、近年のゲリラ豪雨や雷雨の影響でさらに利用できない日が増加していることなどの課題があります。今後のあり方について、災害への取組みや周辺のまちづくり、スポーツ施設の再編、施設の現況、利用状況、敷地内における通行などを複合的に勘案して3つの検討案(p103 参照)を検討した結果、屋外プールは廃止し、温水プール・管理棟を建て替えることで、遊泳コースの増、幼児プールの屋内化、バリアフリー化などを図り、年間を通して誰もがプールを利用しやすい環境を整備することが望ましいとの結論に至りました。今後の第六期長期計画・調整計画の策定の中で議論を深めていきます。プールの検討経緯につきましては、p101 に掲載しています。
p.101
②プールに係る現状と課題
■温水プール・屋外プール・管理棟
温水プール棟は平成元(1989)年9月竣工、管理棟は昭和 57(1982)年5月竣工しました。管理棟が竣工 60 年となる令和 23(2041)年まで使用するには、改修工事費約 10 億円がかかる見込みです。しかし、管理棟は屋外プール用として建てられ、後に温水プールを増設しているため、当初想定していなかった通年利用や、温水プール棟と連結した使用に関しては課題が多く、改修しても、換気(臭気)、動線の複雑さ、バリアフリー化などの課題は解消できません。
屋外プールは、毎年7月から9月中旬の2カ月半に多くの市民に利用されていますが、規模が大きく水深も深く非効率的です。
p.103
③3つの検討案
プールの今後のあり方について、利用状況、現在及び将来にわたる財政的負担(イニシャル・ランニングコスト)と使用料収入(受益者負担)、メリットやデメリット、複合的な取組みや得られる効果、他の体育施設の整備状況などを総合的に検討し、本計画策定のためのパブリックコメントにおいて以下の3案を示し、市民から意見を募りました。
【案1】
温水プール・管理棟・屋外プール(50m)に保全工事を重ねながら今後 20 年間(管理棟築 60 年)程度、維持し使用する。
【案2】
温水プール・管理棟・屋外プールを解体し、建て替える。建て替え後の屋外プールは 25mに縮小する(既存の屋外プールは 50m)。
【案3】・採用☆
温水プール・管理棟を解体し、建て替える。屋外プールは解体し廃止する
関連リンク
【傍聴】令和4年第4回 教育委員会 定例会 その1 「メモ」
傍聴メモです。不正確です。正確には市教委が公開する議事録を読んでください。
事務局報告
3月の予算特別委員であった教育委員会関係の主な質問・意見
- 不登校対策で学校常駐の支援員を3名
- 学校統廃合 → 児童数を見ながら考える
- オンライン授業 → 常時は困難
- コロナ関係の出欠の扱い → 休み方によっては欠席だったり出席停止だったり
- 給食値上げ
- 男女混合名簿 → 市立全校で採用
何の報告だっけな?
- 市立中学生の進路 → 都立 46.6%、私立 42.9% (聞き間違いかも)
議案
武蔵野市教育委員会会議規則の一部を改正する規則
陳情と請願についての改正。委員から陳情と請願の違いは何?という質問があり、取り扱いは同じという回答でした。(要議事録確認) 今まで陳情とか請願ってどれくらいあったんだろう。そしてその効果は?というところが知りたいな。
協議事項
令和4年度教育委員会各課の主要事業について
たくさん意見が出ていました。抜粋します。
- 事業4 学習の中で「自立」「協働」「社会参画」がどの部分か分かるように。
- 事業5 字を書くことを大切に。
- 事業6 設定目標の②と③は整理した後、検討した後が大事。
- 事業6 今の学習用パソコンでは縦書きができない。→委員より、手書きも大切という意見あり
- 事業6 コンピュータ部が廃部になるかもしれない。→事務局より、むしろ部活で学習用パソコンを活用してはいかがという提案あり
- 事業7 「主体的・対話的で深い学び」を先生たちがどうとらえるか、自己流だと「主体的・対話的で深い学び」はできない。先生のプロデュース力が大事。身につけてほしい。
- 事業8 設定目標の①の「学校・家庭・地域の協働」(※いわゆるコミュニティ・スクール)は事業9「学校における働き方改革の推進」と合わせて考えるべき。
- 事業10 今年度の課題①と設定目標①はニュアンスが違う。単純に交流の回数を増やすのではダメ。
- 事業10 設定目標②で就学相談自体もオンラインででいたらいかがか。
- 事業11 常駐型支援員を3校に配置することに期待。
- 事業11 オンラインで授業に参加してはいかがか。
- 事業14 10円プールは夏休み期間のみでも残してほしい。
何年か教育委員会を傍聴していますが、最近、委員の意見が活発になってきているように感じます。好印象!
報告事項
資料のほとんどは人事異動など人事に関することでした。その他は、ルールの整理やら、法令・ガイドラインの変更に合わせた変更。五小と井之頭小の基本設計をプロポーザルで公募するなど。